焦げたソースの香に誘われて ー月島草市ー

この度、西日本を中心とした未曾有の豪雨の災禍に遭われた方々に、心からお見舞い申し上げます。
日照り続きの中での復旧工事、とても難儀なことと察します。挫けずに頑張ってください。
今後も急な天候の変化等に伴う土砂や河川の状況に、十分お気をつけください。

 

先日、いつもなら梅雨末期に行われている下町の夏の風物詩、『月島草市』を覗いてきました。
今年はいつもよりひと月程も早い梅雨明けのおかげで、好天のうちに開催され、例年にも増して多くの人で賑わいを見せていました。

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今年はいつもよりひと月程も早い梅雨明けのおかげで、好天のうちに開催され、例年にも増して多くの人で賑わいを見せていました。

もんじゃ焼きの焦げたソースの香りが漂う中、金魚すくいに熱中する浴衣姿の子どもたちの無邪気な歓声や、屋台で一杯引っ掛けたのでしょう、赤ら顔で冗舌となっているご機嫌な体の初老の御仁など、所狭しと立ち並ぶ縁日の周りには人々の幸せな日常が息づいていました。

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夕方でかきいれ時のはずのスーパーマーケットの店内は閑散としているのに、西仲商店街はすごい賑わいを見せてたことには少なからず驚きを覚えました。
古い話になりますが、戦後に大ヒットしたドラマの放映時間には、風呂屋の女湯は閑古鳥が啼いていたという逸話を、ふと思い出しました。

さて『月島草市』とは今やもんじゃ焼きで有名な西仲商店街に、この時季に露店がズラリと並ぶ縁日ですが、「草市」の別名は「盆市」といい、盆のお供え物や飾り物を取り扱う市のこと、かつてはお盆の前になると「草市」が全国各地で開かれていました。
ですからかつては『月島草市』も盆提灯や線香、ホオズキなどお盆用品を売るため場所でした。それで開催時期もお盆の頃となっています。

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それが時とともに姿を変え現在のような縁日となったわけですが、昔の名残でしょう、中にはこんなお店もあり、かつての「草市」を偲ぶことができます。

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人並みを縫うように立ち並ぶ露天の覗いてみると…そこには昔ながらの懐かしい「金魚すくい」や「水ヨーヨーつり」「かき氷屋」「輪投げ」「射的」はもちろん健在でしたが、

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見慣れぬ「サワガニ釣り」なる露天もありました。こんなサワガニを釣るような遊戯は、自分が子供の頃は見なかったと思いますが…これはもしかしたら、昔の「かめすくい」や「ひよこ売り」が形を変えたものかもしれません。

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誰もが子供心に覚えているあの「ミドリガメ」は、今や全国に大繁殖し問題となっている「ミシシッピアカミミガメ」や「カンバーランドキミミガメ」で、環境省が2020年を目処に「ミドリガメ」の輸入を禁止する事を明らかにしました。
そして「ひよこ売り」は「動物愛護の概念」や成長してからの問題等で、廃れてしまったようです。確かにカラースプレーを吹き付けて売られていたカラーヒヨコ等は、いま考えるとちょっとやりすぎ?いかがなものかとも思いますよね…。

まあ「サワガニ釣り」なら無難、罪がないのかもしれませんね…。

 

…昔さながらの下町の夏の風物詩「月島草市」を満喫、路地をそぞろ歩く上機嫌の私の目に飛び込んできたのが、こんな「工事の看板」でした。どうやらこの地にまた30階を超える高層ビルが建つようですね…。

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オリンピックを前に、この地に居住区が増えることは自然なことでしょうし、私もそれは全く否定はしません。以前このブログで書いたとおり、ビルが増えたことにより、中央区の人口はどんどん増えています。
人が増えることの弊害ももちろんあるだろうけれど、地域が活性化するも確かです。このように縁日が多くの人で賑わうのも、そのおかげでしょう。

それに、私の地元の築地はかなり変貌してしまいましたが、この「月島」や「佃」は昔ながらの路地等の下町の風景は未だ色濃く残っていることが何よりでしょう。

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他国ではタイのバンコク等で、新旧が共存したした街並みが見られるように、この月島も“時代の最先端を行くタワーマンションのすぐ横には昔ながらの路地が広がっている”といった新旧が共存した独特の雰囲気ある街に生まれ変わりつつあるのかもしれません。
「草市」が「縁日」へと姿を変えて、いまなお息づいているように…

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