「花の都の真ん中で…」ー築地本願寺盆踊り大会ー

“花の都の真ん中で…”

この言葉から何を連想しますか?すぐにピンときた人は「熱狂的ツバメファン」か、盆踊りを実体験したことのある人かもしれませんね。

そう、上記は盆踊りの名曲「東京音頭」の一節ですが、「東京音頭」をアレンジしたプロ野球東京ヤクルトスワローズ」の応援歌は、今やあまりにも有名ですよね。傘を振り回しながらスタンドで大歓声を飛ばす「熱狂的ツバメファン」の姿が思い浮かびますが、私は先日、そんな応援歌ではないオリジナルの「東京音頭」を久しぶりに体感してきました。場所は「築地本願寺の境内」です。

今年でもう71回目を迎えた築地本願寺 納涼盆踊り大会」は境内は立錐の余地もない程の大盛況でした。

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さて盆踊りといえば、密接に関係があるのはもちろん「お盆」。今日8月16日は「盆の明け」で、「お盆休み」の最終日ですね。
「えっ、会社のお盆休みは確かに今日が最終日だけど、お盆自体は先月に終わったよ」と思う方もいるでしょう。それは多くの人が認識しているように、お盆には7月に行われる「新のお盆」と、8月に行われる「旧のお盆」と二通りがあるからです。

それではここで「お盆」の起源について少し触れてみます。

私達日本人が昔から慣れ親しんでいる「お盆」はご先祖様を供養するものですが、古の飛鳥時代に仏事とともに伝わってきて、お盆で読まれる「盂蘭盆経」に7月15日に行うものと記されているように、江戸時代までは日本中で7月に行われていました。これが現在の現在のように8月盆が主流となったのは、明治時代の西洋暦の導入がきっかけです。
当時の明治政府は現在の西洋暦の7月15日に行うよう広く御触れを出したのだけど、西洋暦の7月15日は農作業の繁忙期にあたることから、多くの地域では現在の旧の盆である8月に行うことになったとのこと。
ですから、関東でも当時から都市部であった東京の多くの区部や一部の地域、埼玉や神奈川の東京に近い一部の地域以外では、現在でも8月盆なのです。

そして「盆踊り」もかつては7月15日の満月の夜に行われていましたが、現在では8月に広く行われています。

 

…さて、話は「本願寺納涼盆踊り」に戻しましょう。
「第71回 築地本願寺 納涼盆踊り大会」は、8月1日(水)~4日(土)の4日間、19:00~21:00(最終日だけ18:00~20:30)の日程で行われました。

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私は行けませんでしたが、3日目は仮装大会の日だったそうです。でも金曜の夜じゃあ、来年も行けないなぁ…。


櫓を5重6重に囲んで踊る踊りの輪の中には、昔ながらの小粋で鯔背な浴衣姿の江戸っ子たちに混じって、観光地として賑わう築地場外が隣接しオリンピックに向けて地域にホテルも林立している影響でしょう、外国人の姿も多く見られました。
欧米人・アジア人、様々な地域の人たちがそれぞれの国の言葉で歓声を上げていましたが、どの顔も一様に笑顔で満ち溢れていて、すっかり「盆ダンス」を満喫しているようでしたよ。

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そして境内には、櫓を遠巻きに取り囲むように築地ならではの垂涎モノのグルメな屋台が出ていて、大人も子供も思い思いに舌鼓を打っていました。

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納涼盆踊りの曲はオーソドックスな「炭坑節」や「東京音頭」以外にも、「大江戸助六音頭」「築地音頭」「法輪音頭」といった築地本願寺ならではの曲もかかり、会場のボルテージは最高潮。踊り手たちとそれを取り巻く観客達で、日頃は静かな境内が、もはや興奮の坩堝と化していた感さえありました。

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地域によっては盆踊りでAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」や荻野目洋子の「ダンシング・ヒーロー」を採用しているところもあるとか…
この盆踊りではそこまでハジけた曲はありませんでしたが、2010東京五輪の年には、外国人ももっとノリノリで楽しめるような愉快な曲が採用されるかもしれません。2年後が、今からとても楽しみです。


…しかし楽しい時が過ぎるのはいつも早いもの、鳴り響く助六太鼓や人々の笑顔と歓声、グルメな逸品に舌鼓を打った満たされた時間は、あっという間に過ぎてしまいました。
そしていつも祭のあとに残るのは、満ち足りた満足感と、一抹の寂しさです…。

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私はビールを片手に公園沿いをひとり帰路に向かいましたが、時間はまだ宵の口。
大勢の踊り手たちや盆ダンスに大興奮していた外国人たちは、場外の寿司屋や裏築地の居酒屋に散って、これから酒場談義に花を咲かせるんだろうな、“花の都の真ん中で…”

そんな思いを巡らせながら、ほのぼのとした気分で家路に着いた真夏の夜でした…。

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